貸切バスの感染防止対策について
貸切バスの感染防止対策について
新型コロナウイルスの感染状況がまだまだ予断を許さない中、移動の手段として貸切バスを選択した人、またはどんな交通機関が感染リスクが低いのかを悩んでいる幹事様は少なくないのではないでしょうか?
観光や楽しむための旅行はなかなか難しい昨今ですが、従業員の送迎やイベント等での団体移動など大勢での移動を余儀なくされる場合、数ある移動手段の中で貸切バスは感染リスクが低いと言えます。
今回は改めて貸切バスの感染防止対策についてお話ししたいと思います。
貸切バスの換気性能について
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解では、集団感染が確認された場所で共通することとして以下の3つが示されています。
1. 換気の悪い密閉空間だった
2. 多くの人が密集していた
3. 近距離(手を伸ばすと届く距離)での会話や発声が行われた
このうち、「換気の悪い密閉空間」を改善するためには適切な喚起を行うことが必要です。
ここではバスにおける車内換気能力について見ていきます。
観光バスの車内換気能力
大型車メーカー等の協力のもと国土交通省が主な観光バスの車内換気能力について調べたところ、大型バスでは約5分で車内の換気が可能です。
上の図のように大型貸切バスで大半を占める日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそう製の車両では約5分〜7分で車内の空気を入れ替えることができます。
このことから貸切バスは交通手段の中では非常に換気性能の高い乗り物であることがわかります。
「交通安全環境研究所」が実施したバス車室内の換気状況の可視化実験(車室内の空気が入れ替わる時間測定など)も併せてご参照ください
https://www.ntsel.go.jp/news/20200925.html
社会インフラとして期待される貸切バスの感染防止対策
貸切バス会社は公益社団法人日本バス協会が定めた「バスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を守って感染拡大防止に努めています。
バス事業は生活や経済活動を支える重要なインフラでもあるため、社会の安定維持の観点から緊急事態措置の期間中であっても最低限の業務の継続が求められています。
事業者として自主的に感染防止のための取り組みを進めることで新型コロナウイルスの蔓延を防止していくことが社会的にも求められているため、バス会社はこのガイドラインを厳守し安全な運行を心がけています。
主に3つのポイントに絞ってご紹介してみたいと思います。
運転手を含む従業員の体調管理
従業員に対して、可能な限り朝夕2回の体温測定を行った上で、その結果や症状の有無を報告させ、発熱やせき等の症状がある者は自宅待機とする。特に、息苦しさ、だるさ、味覚・嗅覚障害といった体調の変化が無いか重点的に確認する。また、新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触がある場合、過去 14 日以内に政府から入国制限されている、または入国後の観察期間を必要とされている国・地域などへの渡航並びに当該在住者との濃厚接触がある場合においても、自宅待機とする。
ガイドラインより
ガイドラインでは運転手だけではなく事業所の従業員全員に対しての体調管理を行うよう定められています。朝夕2回の体温測定や手指消毒、マスクの徹底、テレワーク、時間差出勤の励行といった項目です。
つまり運転手が乗務の際に健康かどうかをチェックするだけではなく、日常からバス会社内で感染が発生するリスクを防止するための取り組みを行うことが促されています。
運行中のマスク着用・車内換気
・乗務員は、運行中はマスクの着用を徹底する。
ガイドラインより
・ エアコンによる外気導入や窓開け等の車内換気を行うとともに、車内換気を行っていることを表示する等により、乗客が安心して利用することができるように配慮する。
・ 乗客の降車後に、窓を開けて換気する等の車内換気に努める。
当たり前かもしれませんが、マスクの装着とこまめな手指消毒、そして換気を行うことが基本となります。多くのバス会社では利用客のため乗降口に消毒用アルコールを完備しています。
現在では車内での食事や飲酒を制限しているケースもあるので利用の際は事前に確認しておいた方が良いでしょう。
入出庫時の車内消毒
事業用自動車内の座席やつり革、手すり、防護スクリーン、タブレットなど、乗務員や不特定多数の利用者が頻繁に触れる箇所については、こまめに消毒を行う。また、座席に掛ける布については、定期的に洗濯する。
ガイドラインより
ゴミはこまめに回収し、鼻水や唾液などがついたゴミがある場合はビニール袋に密閉する。ゴミの回収など清掃作業を行う従業員は、マスクや手袋を着用し、作業後に手洗いを徹底する。
貸切バスは公共交通機関と異なり、一回の運行の中で特定の団体しか乗車しないため外部からウイルスを持ち込む可能性は非常に低いのです。
さらに出発前と運行が終了し車庫へ帰ってきた時にバスを清掃・消毒を行っているので他の団体が利用した後にウイルスが付着しているといった不安もほぼないと言えるでしょう。
まとめ
バスという車としての換気性能の高さ、公的な機関によるバス会社全体が守るべきルール(ガイドライン)をご紹介したことで貸切バスという移動手段が安心して利用できるものだと感じていただけたでしょうか?
そして貸切バスは利用する人達だけが乗車するので、不特定多数の他人と接触する機会を限りなく低くすることができます。
例えば飛行機や新幹線なども感染防止対策という観点ではどこも厳しくチェックし万全の対応をしているはずです。
しかしこれらの公共交通機関は大勢の人が利用し空港や駅といったたくさんの人と人が否応なしに接触する場所に行かなくては利用することができません。
機内や車内でどれだけ感染対策がとられていても、乗る前の混雑で万が一感染してしまっては何の意味もありません。
貸切バスは運行ルートを自由に決められるので駅などの密閉されていて人の通りが多い場所に集まらなくても、例えば交通量の少ない大通り沿いや地元の公園付近といったようにいわゆる三密にあたらない場所を集合場所に選ぶことができます。
さらに乗り換えや乗り継ぎといったこともないので、道中はSA/PAでの休憩程度といったように極力他人との接触を控えることができます。
移動をする際は感染対策を常に念頭に置く必要がある今、貸切バスというプライベート空間を作りながら目的地へ到着することができる移動手段が極めて安全かつ合理的なのではないでしょうか?