貸切バスで交代運転者が必要(ツーマン運行)になる場合って?

貸切バスで交代運転者が必要(ツーマン運行)になる場合って?

貸切バスで交代運転者が必要(ツーマン運行)になる場合って?

運転席

貸切バスはお客様の希望通りにスケジュールを決めることができるのが魅力です。

観光から送迎まで幅広いシーンで利用されている貸切バスですが、通常の行程では運転手さん1名で運行をします。

しかし、運転手1名が1日に運転できる距離や時間には上限があることをご存知でしょうか?

定められた距離・時間を超えるスケジュールに関しては運転手が2名体制になる場合があります。

これをいわゆるツーマン運行と呼びますが、運転手さん1名での運行に比べると
当然バス料金も割高になります。

今回は、運転手が1日に運転できる距離や時間、どういった運行の場合はツーマンになるかといったところをご紹介したいと思います。

1)そもそも運転手1名で1日どれぐらい運行できるの?

貸切バスは、乗客の安全を守るために運転手が過酷な労働環境化で運行にあたる事がないように労働時間や拘束時間などを定めた決まりが存在します。

1日の拘束時間と休息時間

  • 1日(始業時刻から起算して24時間をいいます。)の拘束時間は13時間以内を
    基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度とする。
  • 1日の休息期間は継続8時間以上必要とする。

このように貸切バス運転手の労務は策定されています。原則運転手1人の場合、1日の拘束時間は13時間以内という事になります。

*13時間を超えて延長する回数は、1週間で2回を限度とすることや4週間を
平均した1週間あたりの拘束時間にも決まりがあるため、前後の運行を工夫しない
限り13時間以上の拘束はできないと思ってください。

ここで言う「拘束時間」とは出庫前と帰庫後に行う点検を含めた時間のことです。点検は各1時間、計2時間必要なので、配車場所までの回送を合わせるとお客さんが実際に乗車できるのは9〜10時間ぐらいと思っておいた方が良いでしょう。

そして運転手は1日の運行が終了した後8時間以上の休息を取らないと次の運行を開始する事ができません。

一泊二日の行程で、1日目の終了時刻が遅く翌朝の出発が早い場合などで、間に8時間以上の休息が取れない場合は運転手1名では運行できませんので注意が必要です。

運転時間(実際にハンドルを握っている時間=ハンドル時間)

運転手の拘束時間は1日13時間までと説明しましたが、そのうちバスを動かすことのできる時間(ハンドル時間)は9時間までと定められています。

拘束時間の中で休憩なくずっとバスを運転してもらうことはできません。

ただし、二日間の平均が9時間以下になるのであれば1日あたり最大10時間までハンドル時間を取る事が可能となります。

*一泊二日の行程で1日目のハンドル時間が10時間、2日目が8時間であれば1日平均9時間となるので運行可能
*夜行の場合は延長不可です

連続運転時間・休憩時間

ハンドル時間は原則1日9時間までですが、休憩なしにずっと運転している事はできません。
連続運転時間及び休憩時間は以下の通り定められています。

【連続運転時間】
  • 昼間の運行において、高速道路の実車運行区間で概ね2時間まで
  • 夜間の運行において、実車運行区間概ね2時間まで
【休憩時間】
  • 昼間の運行において、運転時間4時間毎に合計30分以上
  • 夜間の運行において、概ね2時間毎に連続15分以上

連続運転時間とは10分以上の運転の中断をする事なく連続して運転する事を
いいますので、10分以上連続して休憩をとらないと休憩として認められません。

実車距離

一人の運転手が1日に運転できる実車の距離は

原則500kmまで(夜間は400kmまで)

ここで言う実車距離とは旅客の乗車の有無に関わらず、旅客の乗車が可能として設定した区間の運行をいい、回送運行は実車運行には含みません。

2)ツーマン運行になる条件

運転手1名で運行できる内容についてご説明しましたが、この基準は平成24年に起きた関越自動車道における高速ツアーバスの事故を受けて平成25年に改定された「交代運転者の配置基準」によって定められています。

それ以前は下記の内容で交代運転者を配置する基準が決められていました。

  • 拘束時間が16時間を超える場合
  • 運転時間が2日を平均して1日9時間を超える場合
  • 連続運転時間が4時間を超える場合

これに1)で挙げた運転時間、連続運転時間、休憩時間、実車距離を加えた項目で、基準を超える場合は交代運転者を配置する必要があります。

運転手が1名の場合と比較すると、バス料金はおおよそ1.5〜2倍程度割り増しになります。

また、深夜早朝にかかる時間帯(22時から翌朝5時)の運行はさらに料金が
加算される場合があるため、東京〜大阪間といった長距離でなおかつ夜間の移動は見積もり金額も高額になります。

高速バスなどは出発地と目的地にそれぞれ営業所があり往路と復路で運転士が
入れ替えられたりなど長距離運行でも運転士1名で運行できる仕組みや工夫をしています。

そのため貸切バスの場合は、何名で利用するかにもよりますが一人当たりの負担額は高速バスよりも高額になると思っておいた方が良いでしょう。

また繁忙期など交代運転者の確保が困難な場合があります。バスは空いていても人がいない、という状況は少なくないのでツーマンでないと運行できないスケジュールの時は極力早めに予約をしておくことをお勧めします。

宿泊を伴う行程で、運転手の宿泊場所を手配する必要がある時は2名1室で問題ないか、それぞれ個室を用意する必要があるかも事前に確認します。

基本的には同室で大丈夫、というバス会社さんが多いのですが中には個室の手配が必須になっている場合もあるので運転手の宿泊場所も早めに予約をしておくと安心です。

3)ツーマンの場合は利用できる座席が少なくなる?

運転手2名体制で運行する場合、交代要員の運転手が待機する場所が必要です。

この待機場所は決まっていて、通常運転席後部2席を使うこととなります。

2マン運行の場合、この2席を空けておく必要があるためお客様が乗車可能な
座席は本来より二つ少なくなってしまいます。

例えば正座席45席の大型バスの場合、運転席後部2席が交代運転手の待機席となるため、お客様が使用できるのは45−2で「43席」となります。

参加人数と座席数を事前に確認しておかないと定員いっぱいいっぱいの場合は思わぬトラブルになってしまうかもしれないので注意しましょう。

高速バスにはトランクルームに運転手の仮眠場所を備えられている車両もありますが、観光バスにこのような設備はないので交代運転士は運転席の後部席を休憩場所としています。

最後に

今回は1人の運転手が1日に運転できる時間や距離には限りがあること、基準を超える場合は交代の運転者が必要になることを説明しました。

貸切バスは基本的にはお客様の希望通りスケジュールを組み立てる事ができます。

しかし、乗客や運転手の安全を守るため細かなルールも存在しています。

先のバス事故は価格競争の末極端な低価格で運行を請け負う旅行会社やバス会社が横行し、利益を出すために運転手の人件費が削減され、まともに休むことも
できない過酷な労働環境が常態化した結果起こってしまったという背景があります。

お客様の安全を預かる運転手が無理なく運転できるよう、その労働環境を適性に管理するためのルールとしていろいろな基準が設けられています。

無理なスケジュールを強行すると、安全な輸送が守られないということに繋がりかねませんので、余裕のある計画を立てて上手に貸切バスを利用しましょう。

まとめ

  • 運転手1名の場合、1日の拘束時間は上限13時間まで
  • 運行と運行の間に8時間以上の休息を取る必要がある
  • 運転時間は1日9時間、500kmまで
  • 連続運転2時間毎に15分程度の休憩が必要
  • ツーマンになると利用できる座席が少なくなる

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